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43章
ヴェステルボッテンと
ラプランド
五羽の知恵者
 サーメ地方のヴェステルボッテンとラップランドの様子を五羽の鳥が分担して調べる。それぞれが、野原、岩礁、森林、湖など別のものを見てきて、結局のところ様々な要素のあるよい国だということがわかる。

移動する土地
 ニルスがゴルゴの背中で、土地が他のところへ移動していったら、どう思うかと想像する。太陽が照らしつづけたら
24時間働けるので、両親が喜ぶだろうと思う。


 ニルスの夢のなかで、太陽が先頭になって植物、動物、ニルスが行列になって行進していく。進むにつれてラプランドの北にいる氷魔がこわくて、ついていく植物も動物も減る。
ニルスは太陽がラプランドから追い払われるところで目をさます。するとアッカたちガンがすんでいる谷間に到着していた。

到着
 アッカに会い、ニルスはズルを助けて島で暮らせるようにしたことを話し、ゴルゴについてアッカが自由な生き方をすべきと考えていることを聞き出す。ゴルゴと再会させようとする。
44章
ガチョウ番のオーサと弟のマッツ
病気
 がちょう番のオーサと弟のマッツの身の上に起きた出来事。病にかかった貧しい旅の女が家で死んだ後、なぜか
4人の子供が次々と死に、父親は家出してしまう。母も死んでしまったが、オーサとマッツは自活していく。結核で兄弟がしんだこと
弟マッツの葬式
 マッツが鉱山で発破がかけられ飛んできた石にあたって死ぬ。ニルスがマッツの事故を知らせる。オーサが、立派なお葬式を出すことを反対する鉱山長に、話をきいてもらいにいく。鉱山長は弟を可愛がっていたマッツの気持ちと、家族が死んだ苦しみにたえて、自分を説得しに来ているりっぱな態度にうたれ、大人並みの立派な葬式を出すことを認める。
45章
ラップ人とともに
 弟を失って落ち込んでいるマーサのところへニルスが訪れてどこへ行けば捜し求めている父に会えるかと教えに来る。その直前に夢で弟が現れて助けてくれる人を送ると告げたのでマーサは、その言葉に従って更に来たの鉱山の所へ行く。その町外れにラップ人と親しい男に助けられラップの生活を検分しながらついに父に
めぐり会う
46章
南へ! 南へ!
旅の第一日
 ニルスは白ガチョウのモルデンの背にのって31羽のガンたちと南をめざす。この夏山の谷間で育った22羽のヒナを伴なってアッカは若い鳥たちをはげまし教えながら一行は大空をわたる。下界にはクマやトナカイやオオライチョウがいる。他の渡り鳥とも声をかわしながら愉快な旅
エストベリエット山
 南下の途中深い霧に包まれるイエムトランド地方の高地の展望台で若いグルーナと遭遇したニルスは彼らの会話から イエムトランドの伝説をきく
イェムとランドの伝説

 昔この地方に伝わる巨人伝説 巨人と旅人(アース族の勇士)の戦い。その結果できた現在の山々
47章

ヘリェダーレン地方の伝説
展望台にいる間に群れからはぐれたニルスをカラスのバタキが助けに来る。
バタキの背の上でこの地方に伝わる二つの物語をきく。
オオカミの群れに襲われた樽売りの男が自分自身の危機の中で知恵を働かしておばあさんまで助ける話。
この地方へ逃れて住みついた勇士の話。バタキが何のためにニルスにこの話をするのか、生きる勇気とは
何かを伝える
48章
ヴェルムランドと
ダールスランド
 バタキがニルスに伝えたのはニルスが人間に戻るための秘密についてであった。それはモルテンの命とひきかえのものでアッカも知っていたニルスは人間にならないでこのままガンたちと何年も旅を続けようと思う。
ガンたちが舞い降りた近くで7人の労働者がやってきて故郷の自慢話から口論が始まる。そこへ1人のフィン人が現れて小さなあらそいで納める物語(大男と7人の息子)をする。
49章
小さな屋敷
ニルスは空から眺めて居心地のよさそうな古屋敷に入る。実はここは作者が幼い頃住んでいた家で、ニルスはその庭のりんごをかじりながらモルデンのために群れから離れてここでくらそうかと考える。
ふくろうに襲われたニルスを作者は幻想の世界で逃がしてやることから一気にこの物語の構想を得る。
50章
岩礁の上の宝
海への道
 10月7日 南への旅も一週間たち ひな鳥たちも飛ぶのに慣れてきた頃一行は西よりのダールスランドに来た。そこから北海の岩礁にニルスを導いたアッカは小島の岩礁に埋もれている金貨の山を示す。この金貨を人間になって役にたててほしいという。人間になるためのトムテとの条件は保留したままで。
51章
銀色の海の幸
ガンたちは北海沿いの海辺をとぶ この地方独特のフィヨルド、荒波を防ぐ防波堤、豊かな海の幸 おしよせるニシンの群れとそれをめぐるイルカやカモメや人間の壮大な漁のありさま
52章
大きな屋敷
 ネースにある古い大きな屋敷でのスエーデンの近代教育。ある若い女教師と彼女が深い影響を受けた手工講習所の成り立ちとそこで行われた個人の善意から出発した教育者養成の内容、世界中の教師から注目されたこの教育施設がもつ人類愛と善意の世界をこの女教師を通して描く
合唱
 女教師は、このオーナーが重い心臓病でたおれたと聞き教え子たちを引き連れて遠い道をネースに向かう。
道々彼女はこの地方の巨人伝説をこどもたちに語る(ベテルヨートランドの昔話
ネースに着いたが病状がとても重いときいて女教師は用意してきた子供たちの合唱をしないで引き返そうとする。あとをつけてきたニルスはやきもきする。彼の声と自分の内心の声に励まされ、彼女は病人の窓の下で合唱する。病人はその声で蘇る。
53章
ヴェンメンヘーイへの旅
いよいよ故郷スコーネに近い南部にやってくる
54章
ホルゲル=ニルソンの家
アッカのすすめでニルスは我が家に向かう。アッカはニルスを家に残しくちばしで上下になでながら自然に生きるものたちの思いを語って飛び去る。 ニルスは、家畜たちとはなしながら自分がいなくなったあとの事情を知る。幸せになったオーサとその父を見る。牛小屋にかくれているニルスの前にダンフィンと6羽のヒナを連れたモルテンが現れる小人になった姿をさらすのは辛いがモルテンを助けなければ・・・・叫ぶニルス
55章
ガンの群れとの別れ
人間になったニルスは、もう動物達の言葉がわからない。浜辺で言葉の通わなくなった人間ニルスとアッカ一行との別れ。アッカやその仲間を抱きしめたあとニルスは離れて岬に立ち、去って行く渡り鳥たちを見送る。

解説

作者、セルマ・ラーゲルレーヴは1858年スウェーデンで生まれた。セルマは左足が不自由で、家の中で本を読むのが好きな少女に成長。両親がいろいろな治療を受けさせたので、歩けるようになっていった。15歳頃から詩を書き始め、文学を一生の仕事にしたいと思うようになり、24歳でストックホルムの女子高等師範学校に入学。卒業後、歴史を教える教員をしながら創作に励んだ。

1895年には教職も退き文学の道に専念。「地主の家の物語」「エルサレム」「キリスト伝説集」等刊行。スウェーデン教育会から、スウェーデンの地理・歴史を十歳前後のこども達に分かり易く知って貰うための読み物の創作を依頼された。

 セルマは3年間の労苦(スウェーデンの地理・生物について詳しく調べ、各地の伝説や生活を取材)の後、1906年に「ニルスのふしぎな旅」第1部、翌年に第2部を書き上げた。こどもだけでなく、大人にも広く読まれ、いろいろな国の言葉に訳された。

 1909年、スウェーデン人として、また、女性として初めてノーベル文学賞を授与された。第一次世界大戦最後の年「追放者」(1918年)を書き、戦争反対の気持ちを訴えた。1940年、第2次世界大戦中、ソ連軍がフィンランド侵入。セルマは医師に「先生、平和になるのでしょうか?」の言葉を最後に82歳で亡くなった。

 セルマの生まれた頃は、スウェーデンもイギリスにはじまった産業革命の影響を受け、工業がおこる一方で、ドイツやロシアのナショナリズムに刺激されて、富国強兵が目的とされた時代。同時に、人間らしく生きたいという考えから、自然主義とよばれる文学が生まれた。

 

日本では「ニルスのふしぎな旅」第1部が1918年、香川鉄造訳で出版。その後子息の節(みさお)氏が1982年に全訳刊行。