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ニルスのふしぎな旅 
ラーゲレーブ作=/香川鉄蔵・香川 節=訳

偕成社文庫

   ラボテューターの会「ニルスのふしぎな旅」研究会

 私たちは、いつか欲しいラボ・ライブラリーとして、「ニルスのふしぎな旅」を研究しています。そして、全国ライブラリー委員会へ発刊CDとして推薦したいと願っています。このデーターは研究員たちが、内容に触れるために分担して要約しました。あくまで要約です。ぜひ、原作を読まれてご堪能くださるようお願いします。

                                         2003年 4月 3日


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内 容
1章
少年
トムテ 
 貧しい百姓の息子ニルスは無精で怠け者。 教会へ行く両親から説教集を読んでおくように言われるがすぐに居眠りを始める。小人の妖精トムテの物音で起きるが、捕中網で生け捕りを企み、自分が小人にされてしまう。
ガンの群れ
 小人になった為に動物の言葉が解るようになったニルスは、家畜達にトムテの居場所を聞いて回る。謝って人間に戻してもらおうと考えるが、いつも自分達をいじめていた罰だと誰も相手にしてくれない。 わが身の不幸を嘆いているとガンの群れが飛んで来てガチョウ達を空の旅へと誘う。両親が大事にしている若い雄ガチョウが飛び立とうとするのを見たニルスは止めようとしてしがみつき、そのまま空高く連れて行かれる。
市松もよう
 大空からの眺めは素晴らしく、惨めな今の自分の事も忘れて胸がせいせいとするニルスだった。
  
2章
ケブネカイセのアッカ
夕方
 疲れて遅れがちになるガチョウのモルテンはガンの団長がうわさの大物アッカだと知り、ガチョウを見直させてやろうとラプランドまでついていく決心をする。ニルスは頼れるのはモルテンだけとよく世話をしてやり、旅の道連れになる約束をする。

 ニルスは暗闇のなかでも良く見える不思議なトムテの目を持っていたのでキツネの<ずる>に襲われたガンを助け出す。  <ずる>は木の上に逃げたちっぽけなニルスをどうする事も出来ず、腹を立てる。
キツネつり
 アッカたちは<ずる>に追われて木の上から降りられなくなったニルスを助け出す為に、わざとゆっくり飛んでキツネをからかう。夕方息も絶え絶えに倒れた<ずる>を見てガンたちは「われわれに手向かうとどうなるか思い知ったか」と悠々と飛び去った。
3章
野の鳥の生活
農場で
 ニルスは農民に捕まった母リスの元へ赤ん坊リスを届け、感動した農民はリスを放してやる。
ヴィットシェヴレ城
 古城見学の生徒たちに先生が語る城の350年の歴史。
エヴェードクロステル庭園で
 1週間が過ぎ、気楽で珍しい事ばかりの旅の暮らしにすっかり慣れたニルスは人間に戻れると聞いても喜ばず、旅を続けたいとアッカに懇願する。
4章
グリミンゲ城
クマネズミとドブネズミ
 ほろびかかったクマネズミの最後の城をドブネズミが占領しようとしているのを知り、心配する動物達。
コウノトリ
  周りの動物は自分にも被害が及ぶ事を心配している。
ネズミ使い
 ニルスはフクロウの見つけた角笛を吹いてドブネズミを遠くへ追い払った。
5章
ツルの大舞踏会
ニルスを馬鹿にしていたコウノトリのエルメンリクはネズミの件でニルスを見直し、キュッラベリの動物運動会に招待する。なかでもツルの大舞踏会は素晴らしかった。
            
6章
雨の日
空の旅に出てから初めての雨。びしょぬれのまま夜になり、ニルスは人恋しさと不安を感じる。トムテのままでいたいと願った事で失った世界のかけがえのなさを知る。人間にかえる方法を思案するうち、フクロウの話からガチョウの面倒をよく見てやれば無事にうちに帰れてまた人間になれると解り、大喜びする。          
7章
三つの段だん
ブレーキンゲの地理 〜ニルスの学校での先生の話
8章
ロンネビイ川で
キツネのずるとの再会 キツネは何度もガンに恨みを晴らそうとするが、夜目の効かない鳥達に代わってニルスが番をしているのでかなわない。アッカ達はそんなニルスを命に代えても守ろうとする。ニルスはその言葉を聞き、別の世界が開けたように感じる。ニルスはもはや、”誰にも好かれない子”ではないのだ。         
9章
カールスクローナ軍港
軍港を開いたカール11世の銅像と慈善箱の兵長の会話〜祖国防衛の歴史と
軍艦の模型の話          
10章
エーランド島へ
 たくさんの渡り鳥達と<鳥の空路>を飛ぶうちに、天上を目指しているような気分に浸ってうれしくなっていたニルスは突然狩人の射撃の音を聞き我に返る。射落とされた群れが海へ落ちていくのを見て、人間の起こす悲劇に驚く。霧にまかれて道に迷うアッカの一団とそれをからかうハクチョウ達。
11章
エーランド島の南端

 スェーデン一の動物の楽園エーランド島でモルテンは怪我をした若い雌ガンのダンフィンに出会う。ニルスが外れたかんせつをあわせてやるとお姫様の化身のように美しいダンフィンは感謝して旅の仲間になった。

12章
大きなチョウ
 エーランド島の高地の風車の陰でニルスは 2人の羊飼いが話しているのをきく。 人間や動物が 巨大だった昔   おおきな美しいチョウがバルト海に乗り出した。 暴風に遭い スモ―ランド沖に座礁した。 .胴体だけが 石灰化してエーランド島になった。 島の高地を歩くものは この島を天までとばせたい と、あこがれを感じるのは 島全体が 羽を持ちたいと願っている チョウだからだ。
13章
小カルル島
 暴風
 エーランド島から本土へ向かったガンたちは 暴風に遭い バルト海にたたきつけられアザラシに襲われる.海は氷の塊に覆われる

命からがらたどり着いた島のほら穴にいた羊 は,凍った海を渡って来たキツネに襲われる ニルスは キツネを撃退。
地獄谷
 モルテンとニルスはキツネを地獄谷へうまく おびきよせて 落とす
14章
二つの都
海底の都  
 コウノトリのエルメンリクと浜辺にでかける。 ニルスは突然出現したきらびやかな都にはいる。 商人たちは熱心にニルスに何か買って貰いたがる。 浜辺に落ちていた銅貨を拾いに行っている間 に都は消える。何か買えば都はこの世に残る事 ができたのだ。
生きている都
 幻の都を救えず悲しむニルスをガンたちは ゴットランド島の古い都に連れていった。 きらびやかな都がいきのっこたとしても目の前の 都のように廃墟になるだろう.なるようになるのが よいとニルスはさとる。そして年をとったものは 海の底の栄華を極めた都よりいまここにある 寂れ果てた都をよろこぶ。
15章
スモーランドの物語
  スモ―ランドでニルスは前に会ったスモ―ランドの姉弟  の 姉弟マッツとオーサの話を思い出す。スモ―ランドを作っていた神が残り半分を聖ペテロ にまかせてた。 聖ペテロの作った部分はやせた霜ふる地だった。 神はやせた土地でも暮らせるはきはきした倹約な 快活で勤勉な進取的なスモ―ランド人を作る。 スコーネ人は 聖ペテロにつくらせた。

[2]

16章
カラス
カラス
 土のかめ スモ―ランドの荒れ地にすむカラス.行儀の良い 白羽族から、ならず者に権力がうつった。 かめを見つけたが あかない. キツネがニルス  に開けさせるようそそのかす。
カラスにさらわれた
 ニルスは15羽の乱暴なカラスにさらわれて 脅されて,銀貨の詰まった土のかめをあける。
掘っ立て小屋
 ニルスは白羽族のうすのろに案内された 小屋で休むが、キツネノズルに追われ火をつける。 そこに現れたのは マッツとオーサ姉弟。 ニルスは人間でない自分を恥じて逃げる。
17章
農家のおばさん
農家のおばあさん
 ニルスは納屋の牝牛に頼まれて母屋の様子を見る。 一人暮らしのおばあさんは床に倒れて死んでいた。 夫亡き後一人で農家を切り盛りし子供達を育てた。 一人になってから、外国に行った子供や 孫を 思いながら暮らしていた事を牝牛にきく。 ろうそくをともしおばあさんの亡骸を整え通夜をする、 牝牛を放して村人におばあさんの異変を伝える. ニルスははじめて自分を案じている父母をおもう。 親はこれほど子を案じるものなのか.自分の 父母はいきているのだと。
18章
ターベリからのヒュウスクヴァルナへ
  ターベリの鉱山の鉱夫が晴れた空を行くがんに 呼びかける.「どこへ行くんだい!」ニルスは答える 「つるはしもハンマーも無い所へ!」鉱夫はガンの 鳴き声が日ごろの願いの様に聞こえるとおもい 答える.「一緒に行こう.一緒に行こう。」 工業都市エンチユービンゲン市でも「 どこえゆく んだい!」「機械もボイラーもないところへ!」「いしょに いこう!いっしょにいこう!」病院では入院患者が 屋上で「どこへ行くんだ!」「心配も病気もないくにへ!」 学校では子供達と、「本も授業もないところへ!」
19章
大きな鳥の湖
マガモのヤッル-
 トーケルン湖は人間が干拓を試みた為浅く、あしが  茂って生き物、野鳥がたくさんあつまってきた。 北アフリカから渡ってきた若いマガモのヤッルーは 人間に捕まったが農家で大切にされた。
11 おとりガモ
  ヤッルーは飼い犬のセサルや農家の人々になついた が,他のかもをおびき寄せるためのおとりがモに 使われた.ニルスはヤッルーを逃がす。 湖の干拓 農家の三歳の息子ウッラがヤッル―を追って湖で行方不明になる.ヤッル―とニルスはウッラを 救う。
湖の干拓
 一方息子を探して葦原深く入った母親は 湖と鳥について深く感じ、考える.干拓中止を決めた時 息子がかえってきた。
20章
予言
予言
 ニルスが寝ていたトールケン瑚の島の近くで夜釣りしていた2人の老人の話。 むかし予言があたるので評判の婦人がいた。 農夫が自分の郷土エステルヨードランドの未来 を聞きに来た。婦人は有名な寺院や御殿 将軍達の別荘,有名な鉱泉が湧く,運河ができる 等誇れるこの地方の未来を予言する。 農夫はそれらははかなく変わりやすいと 安心しない。 世の終わりまで 名誉を愛するがんばりものの 農民が絶えないであろうとの 予言で農夫 は初めて満足した。土くれとともに働くものだけが いつの世にも 郷土に栄誉と幸福をもたらすと。
21章
手織りの布
手織りの布
 豊かな農園の春を、家畜たちをからかいながら ガンたちは飛ぶ。 緑の森と広い平原のエステルヨートランドの上 でニルスが思い出した昔話。 半分は金糸のビロード半分は灰色の手織り布 のスカートを持った女の人が灰色部分を真珠や 宝石で飾って金の部分より立派にした.人々は 町 屋敷 教会 工場 城 駅等で 平野部分をうつくしく。飾っている。 ニルスは 空から自分の名前のかいてある靴を 落とす。オーサ、マッッの姉弟に拾われる。
22章
カルルと<灰毛>の話
コールモルデンの森
 コールモルデンの森 エステルヨートランドとセルムランドの間の森は きりつくされたが、鉱山の衰退で人々は 森とともに生きることをはじめた。
カルル
  ニルスがガンと共にこの森にくる12年前のこと。 生き物を追いかけるくせのある飼い犬のカルルを 鉱山主は森蕃に殺すようにいった。 カルルはオオジカの親子の急を森番に教えたことで助かり、森番に飼われる。
<灰毛>の逃亡
 カルルは助かったオオジカの子<灰毛>の成長 を助け 灰毛は森へ去る。 無頼 森へ逃げた灰毛はみずへび
<無頼>
 のつれあいの おとなしを殺す.<無頼>はまむしのニョロとふくろうや よしきりに ガの<尼>の幼虫を殺さない様頼む。
<尼>ガ
 幼虫が森を食い尽すほど増えた.灰毛はカルル に、森を救う為に人間に知らせる様頼む <無頼>は森から灰毛を遠ざければ幼虫を退治する とカルルにせまる。 カルルは人間に<尼>ガの大発生を知らせる
<尼>ガとの戦い
 人間の対策にも<尼>ガの猛威はなかなか納まらない。 森の動物は灰毛のせいだと責める.灰毛は北へ去る。
<尼>ガは病気のため数年たって滅びる。
仕返し
 ニルスは、みずへび<無頼>に出くわして殺す。 前年灰毛が北の森で狩人から仲間を守り立派な、生涯を終えたことを アッカはカルルに語る。
23章
美しい庭園
 セルムランドの広大な庭園は、くだものが実り薔薇が咲き、美しい入り江や湾が眼下に見渡せる。赤い屋根の教会堂もあり小鳥のさえずりが聞こえる。死後も庭園の世話をし続けなければならなかった”カール殿下” の逸話とは?この庭園を見ることができるのは、誰だろう・・・・・。
24章
ネルケで
イセッテルのカイサ
 風の魔女イセッテルのカイサは暴風雨や突風を起こすのが大好き。大勢の人が馬車に乗ってやって来るのを見ると、吹雪で吹き溜まりを作ったり、庭のテーブルクロスを吹き上げて、茶器をひっくり返したり・・・。
 カイサは、けちで意地悪な人間にはひどくあたったが、ちゃんとした人や貧しいこどもたちは守ってやっていた。
市のあるまえの晩のこと
 けちでしまり屋の金持ちの息子は、父親に愛馬を売られたことを長いこと忘れられなかった。その馬が老いさらばえて現れて・・・。長じた息子は父親そっくりな、しまり屋になっていた。
25章
氷割れ
 ガチョウ番のオーサと弟のマッツは、北へ旅を続けていた。氷の湖を渡れば楽だけれど、春先の氷は薄くなった所から割れ初めていた。それでも、雨でぬかるんだ道をゆくより早く向こう岸へ着けそうだった。
26章
財産の分配
 ベストマンランドの巨人族のおばあさん。たいそうなお金持ちで、この地方を全部持っていた。その財産を3人の息子に分ける時、はたと困った。一番かわいがっている末の息子が受け取った財産はなんだった?
27章
ベリイスラーゲルナで
 畑の無い森の真中に大きな農家とは? 採掘こうが開いた鉱山、鈍いハッパの音。どの早瀬にも水車がまわり、電線は静かな森の上をすれすれにとおっている。鉄ができなかったら、ミミズクやクマのほかにはだれも住まない土地の話。
28章
製鉄所
 クマが先祖代代住んだ土地が、いまや溶鉱炉や製鉄所に変わってしまった。静かな森が恐ろしい騒音に占められている。ニルスは、製鉄所を憎む大きな父熊に捕まってしまう。

[3]

29章
ダール川
 木を引っこ抜きながら、森を通り抜け、湖を作り、岩を穿ち、崖を飛び下りて、流れを広げながらどうどうと海への旅を続けたストール川が、名を捨てて東ダール川と西ダール川になったわけ。
30章
男の子のわけまえ
古い鉱山町
 ワタリガラスのパタキが飛び込んだいおう小屋の窓が閉じて出られなくなった。助けられるのはニルスだけ、ハトのアーガルの伝言で助けに行くのだが、ニルスが壁をノミで突いたくらいでは・・・・。
ファールン鉱山のむかし話
 銅がたくさんとれる山を持つ大男が財産を二人の娘に分けることに。それには、約束があった。銅山を見つけた者があったら、だれかに銅を見せないうちに殺さなくてはならない。上の娘は強くうなづき下の娘は気弱に考え込んだ。大男は、財産の2/3を姉に、1/3を妹にやった。
31章
ヴァールポリイ祭りの夜
 こどもたちがクリスマスイブのように待ち焦がれている4月30日。燃えるものはなんでも集めておく、暗くなるのを待って、山になった薪に火がつけられる、村々、町々で100ヶ所以上もの火が燃え盛る、こどもたちは、何処よりも大きく、何処よりも長く燃やそうと必至。大人たちは、コーヒーを飲みながら昔話に花を咲かせるのだった。
ミール=チェルスチの話
 来る年も来る年も不作つづきで ダラーナの若い者は、200キロも歩いてストックホルムへ出稼ぎに行かなければならなかった。庭仕事、給仕、いと紡ぎなんでもやって金を貯めて帰ってきては弟妹を食べさせた。いざというときには王様でさえ ダラーナ人をたのみにした。
32章
教会堂
 レッドビーク教会の堅信礼、人々は雪のように白い羊の毛皮の上下で雪の中を行く。ガグネーフのお葬式に人々は緑の胴着に赤い上着、色とりどりの房のついた布をかぶって。フローダの教会堂では結婚式があって、花嫁は金の冠、花やきれいな色のリボンで飾って・・・・。
33章
洪水
洪水
 5月メーラレン湖の北の地方では、一日雨が降ると、雪は本気になってとけはじめ春の小川が流れ始める。ほうぼうにできた小川はいっぺんにメーレラン湖に注いで、これが時にとんでもないことになる。
イェールスタ湾のハクチョウたち
 洪水で受難した白鳥たちを救おうと駆けつけた アッカ隊長とガンの群れ。ところが、誇り高い白鳥たちは一行の中にガチョウのモルテンを見つけて大憤慨。モルテンは白鳥たちに囲まれて危うく羽を全部抜かれそうになる。
新しい番犬
 ニルスを追いかけてきた きつねの「ズル」。危ういところだったが、ある家の番犬と力を合わせて、ニルスがきつねの「ズル」の首に鎖を巻きつけて捕まえた。
34章
ウップランドの伝説
 ウップランド地方の勉強が難しいという子供におばあさんが伝説を語る。地味のやせた貧乏な州であるウップランドが、ものごいに出かけた。3つの州から、土、川など不要なものをもらいあれこれ考えて土地作りをした。他の州は、自分たちのやったもので立派な州を作ったのを知り悔しがったが、いちばんりこうで仕事ができる州と認めざるをえず、王様の首都はウップランドに置くことになった。
35章
ウプサラ
大学生
 優秀で友人も多い大学生が、卒業試験を受けて就職するばかりになった。彼とは対称的な内気で元気のない万年学生が持ってきた論文を誤って風にとばしてしまった。成功を約束したすばらしい論文をなくしてしまったのが気がかりで自分の試験も不合格になってしまった。大学生が論文を返さないので、万年学生は精魂込めて書いたものが役に立たないものと勘違いし、病気になってしまった。
春祭り
 バタキにつれられて春祭りのウプサラへ来たニルスは大学生になることは名誉で幸福なことと教えられる。バタキが、人間になるには、ニルスになりかわりたい人と出会い、ある言葉をいえとそそのかされる。
人間にもどるか
 ニルスが大学生と話をする。身の上をきき、大学生は今の自分はニルスになれたらいいと話す。バタキはそそのかすが、ニルスはバタキに原稿をとってきてくれるよう頼む。原稿を大学生に返してしまい、ニルスは人間と入れ替わらなかった。友達を裏切ることはけがらわしいことだと思ったから、モルテンを裏切らないためだと気持ちを話す。
36章
ダンフィン
水に浮かぶ都
 ダンフィンの故郷にガンたちはたちよる。そこはもやで、水に浮かんでいるように見える都であった。
姉妹
 実はいじのわるいダンフィンの姉妹は 妹が美しい雄がちょうモルテンのお嫁さんになることに嫉妬する。お姉さんたちにそそのかされてダンフィンはモルテンを危険なめに合わせてしまうが、そのたびにニルスが救う。姉さんの一人が群れにまぎれて出発し、ばれるとニルスをモルテンから奪い、海におとす。
37章
ストックホルム
 ストックホルム スカンセンのバイオリン奏者で貧しい老人クレメントは漁師からニルスを買いとり助けてやる。クレメントはストックホルムの成り立ちを老紳士のなりをした国王から聞く。海の乙女の伝説、丸太でかためられた中洲(ホルム)と呼ばれるようになった理由、スウェーデン人みんなの家であるわけなど。
38章
ワシのゴルゴ
谷間
 撃たれて死んだワシの親のかわりに、アッカがワシのひなを育てる。アッカを親だと思い、ガンとして育つが、ある日自分がワシだと知る。ワシらしく生きようとするゴルゴを許せないアッカと仲たがいしてしまう。ゴルゴは、大盗賊として知られるようになるが、ガンとして遊んだ時代をなつかしく思う。
とらわれの身
 スカンセンのおりにとらわれてすっかり覇気がなくなっていたゴルゴをはげましニルスが金網をきり逃がしてやる。ニルスは、クレメントとの青いうつわで食事を出したら自由の身だという約束があるため逃げない。そこをゴルゴが無理やり連れ出す。
39章
イェストリークランドの空の旅
高価な帯
 ニルスはゴルゴが勝手に連れ出し、自分に約束を破らせたことに腹をたてていたが、クレメントを探そうという提案にのる。岩山でスウェーデン国旗を掲げた行列がのぼってくるのを見つける。
植林の日
 植林の日 山火事で山の自然が荒廃した様子。子供たちが山肌に植林するのに、触発されて大人も作業に参加する。森を守るのは次の時代の人たちのための記念碑のようなもの。
40章
ヘルシングランドの一日
一枚の葉
 ゴルごの背に乗って上空から見ると、ヘルシングランド地方は葉っぱのように見える。家畜と人々の行列が森へやってくる。ゴルゴがクレメントを見つけてくれる。クレメントは、ニルスと青いおわんの約束のこと、王さまと話したことをいい、勝利する。
動物たちの新年前夜
 動物たちの新年前夜 話くらべ。ベルナードはお坊さんの不思議な体験を語る。「お坊さんは自分の馬が熊やおおかみが集まる山のいただきでおおみそかに、森の精に死の宣告をされるところを助ける。野獣のえじきになる家畜のことを考えてやれといういましめか」。
41章
メーデルパッドで

 メーデルパッドの林業の様子をニルスは自分の故郷と比べて、きつい仕事と思う。また富んだ村の様子、筏師、材木が川を下る様子、製材所、森の産物で栄える北の町の様子をゴルゴと見る。

42章
オンゲルマンランドの朝
パン
 ニルスはおかみさんが野蛮な猛鳥と思われているゴルゴに自分の焼いたパンをくれたことに感動する。人間にもどれたらお礼をいおうと決める。

山火事
 山火事が恐ろしい力でおそってくる。人々が消火し山は助かる。

[4]

43章
ヴェステルボッテンと
ラプランド
五羽の知恵者
 サーメ地方のヴェステルボッテンとラップランドの様子を五羽の鳥が分担して調べる。それぞれが、野原、岩礁、森林、湖など別のものを見てきて、結局のところ様々な要素のあるよい国だということがわかる。

移動する土地
 ニルスがゴルゴの背中で、土地が他のところへ移動していったら、どう思うかと想像する。太陽が照らしつづけたら
24時間働けるので、両親が喜ぶだろうと思う。


 ニルスの夢のなかで、太陽が先頭になって植物、動物、ニルスが行列になって行進していく。進むにつれてラプランドの北にいる氷魔がこわくて、ついていく植物も動物も減る。
ニルスは太陽がラプランドから追い払われるところで目をさます。するとアッカたちガンがすんでいる谷間に到着していた。

到着
 アッカに会い、ニルスはズルを助けて島で暮らせるようにしたことを話し、ゴルゴについてアッカが自由な生き方をすべきと考えていることを聞き出す。ゴルゴと再会させようとする。
44章
ガチョウ番のオーサと弟のマッツ
病気
 がちょう番のオーサと弟のマッツの身の上に起きた出来事。病にかかった貧しい旅の女が家で死んだ後、なぜか
4人の子供が次々と死に、父親は家出してしまう。母も死んでしまったが、オーサとマッツは自活していく。結核で兄弟がしんだこと
弟マッツの葬式
 マッツが鉱山で発破がかけられ飛んできた石にあたって死ぬ。ニルスがマッツの事故を知らせる。オーサが、立派なお葬式を出すことを反対する鉱山長に、話をきいてもらいにいく。鉱山長は弟を可愛がっていたマッツの気持ちと、家族が死んだ苦しみにたえて、自分を説得しに来ているりっぱな態度にうたれ、大人並みの立派な葬式を出すことを認める。
45章
ラップ人とともに
 弟を失って落ち込んでいるマーサのところへニルスが訪れてどこへ行けば捜し求めている父に会えるかと教えに来る。その直前に夢で弟が現れて助けてくれる人を送ると告げたのでマーサは、その言葉に従って更に来たの鉱山の所へ行く。その町外れにラップ人と親しい男に助けられラップの生活を検分しながらついに父に
めぐり会う
46章
南へ! 南へ!
旅の第一日
 ニルスは白ガチョウのモルデンの背にのって31羽のガンたちと南をめざす。この夏山の谷間で育った22羽のヒナを伴なってアッカは若い鳥たちをはげまし教えながら一行は大空をわたる。下界にはクマやトナカイやオオライチョウがいる。他の渡り鳥とも声をかわしながら愉快な旅
エストベリエット山
 南下の途中深い霧に包まれるイエムトランド地方の高地の展望台で若いグルーナと遭遇したニルスは彼らの会話から イエムトランドの伝説をきく
イェムとランドの伝説

 昔この地方に伝わる巨人伝説 巨人と旅人(アース族の勇士)の戦い。その結果できた現在の山々
47章

ヘリェダーレン地方の伝説
展望台にいる間に群れからはぐれたニルスをカラスのバタキが助けに来る。
バタキの背の上でこの地方に伝わる二つの物語をきく。
オオカミの群れに襲われた樽売りの男が自分自身の危機の中で知恵を働かしておばあさんまで助ける話。
この地方へ逃れて住みついた勇士の話。バタキが何のためにニルスにこの話をするのか、生きる勇気とは
何かを伝える
48章
ヴェルムランドと
ダールスランド
 バタキがニルスに伝えたのはニルスが人間に戻るための秘密についてであった。それはモルテンの命とひきかえのものでアッカも知っていたニルスは人間にならないでこのままガンたちと何年も旅を続けようと思う。
ガンたちが舞い降りた近くで7人の労働者がやってきて故郷の自慢話から口論が始まる。そこへ1人のフィン人が現れて小さなあらそいで納める物語(大男と7人の息子)をする。
49章
小さな屋敷
ニルスは空から眺めて居心地のよさそうな古屋敷に入る。実はここは作者が幼い頃住んでいた家で、ニルスはその庭のりんごをかじりながらモルデンのために群れから離れてここでくらそうかと考える。
ふくろうに襲われたニルスを作者は幻想の世界で逃がしてやることから一気にこの物語の構想を得る。
50章
岩礁の上の宝
海への道
 10月7日 南への旅も一週間たち ひな鳥たちも飛ぶのに慣れてきた頃一行は西よりのダールスランドに来た。そこから北海の岩礁にニルスを導いたアッカは小島の岩礁に埋もれている金貨の山を示す。この金貨を人間になって役にたててほしいという。人間になるためのトムテとの条件は保留したままで。
51章
銀色の海の幸
ガンたちは北海沿いの海辺をとぶ この地方独特のフィヨルド、荒波を防ぐ防波堤、豊かな海の幸 おしよせるニシンの群れとそれをめぐるイルカやカモメや人間の壮大な漁のありさま
52章
大きな屋敷
 ネースにある古い大きな屋敷でのスエーデンの近代教育。ある若い女教師と彼女が深い影響を受けた手工講習所の成り立ちとそこで行われた個人の善意から出発した教育者養成の内容、世界中の教師から注目されたこの教育施設がもつ人類愛と善意の世界をこの女教師を通して描く
合唱
 女教師は、このオーナーが重い心臓病でたおれたと聞き教え子たちを引き連れて遠い道をネースに向かう。
道々彼女はこの地方の巨人伝説をこどもたちに語る(ベテルヨートランドの昔話
ネースに着いたが病状がとても重いときいて女教師は用意してきた子供たちの合唱をしないで引き返そうとする。あとをつけてきたニルスはやきもきする。彼の声と自分の内心の声に励まされ、彼女は病人の窓の下で合唱する。病人はその声で蘇る。
53章
ヴェンメンヘーイへの旅
いよいよ故郷スコーネに近い南部にやってくる
54章
ホルゲル=ニルソンの家
アッカのすすめでニルスは我が家に向かう。アッカはニルスを家に残しくちばしで上下になでながら自然に生きるものたちの思いを語って飛び去る。 ニルスは、家畜たちとはなしながら自分がいなくなったあとの事情を知る。幸せになったオーサとその父を見る。牛小屋にかくれているニルスの前にダンフィンと6羽のヒナを連れたモルテンが現れる小人になった姿をさらすのは辛いがモルテンを助けなければ・・・・叫ぶニルス
55章
ガンの群れとの別れ
人間になったニルスは、もう動物達の言葉がわからない。浜辺で言葉の通わなくなった人間ニルスとアッカ一行との別れ。アッカやその仲間を抱きしめたあとニルスは離れて岬に立ち、去って行く渡り鳥たちを見送る。

解説

作者、セルマ・ラーゲルレーヴは1858年スウェーデンで生まれた。セルマは左足が不自由で、家の中で本を読むのが好きな少女に成長。両親がいろいろな治療を受けさせたので、歩けるようになっていった。15歳頃から詩を書き始め、文学を一生の仕事にしたいと思うようになり、24歳でストックホルムの女子高等師範学校に入学。卒業後、歴史を教える教員をしながら創作に励んだ。

1895年には教職も退き文学の道に専念。「地主の家の物語」「エルサレム」「キリスト伝説集」等刊行。スウェーデン教育会から、スウェーデンの地理・歴史を十歳前後のこども達に分かり易く知って貰うための読み物の創作を依頼された。

 セルマは3年間の労苦(スウェーデンの地理・生物について詳しく調べ、各地の伝説や生活を取材)の後、1906年に「ニルスのふしぎな旅」第1部、翌年に第2部を書き上げた。こどもだけでなく、大人にも広く読まれ、いろいろな国の言葉に訳された。

 1909年、スウェーデン人として、また、女性として初めてノーベル文学賞を授与された。第一次世界大戦最後の年「追放者」(1918年)を書き、戦争反対の気持ちを訴えた。1940年、第2次世界大戦中、ソ連軍がフィンランド侵入。セルマは医師に「先生、平和になるのでしょうか?」の言葉を最後に82歳で亡くなった。

 セルマの生まれた頃は、スウェーデンもイギリスにはじまった産業革命の影響を受け、工業がおこる一方で、ドイツやロシアのナショナリズムに刺激されて、富国強兵が目的とされた時代。同時に、人間らしく生きたいという考えから、自然主義とよばれる文学が生まれた。

 

日本では「ニルスのふしぎな旅」第1部が1918年、香川鉄造訳で出版。その後子息の節(みさお)氏が1982年に全訳刊行。

2002年3月22日


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